嫡子5種類

「嫡子 heir 」は「法定相続人/後継者/継承者」という意味である。


「皇太子」、江戸時代までの「世子」「嫡男」は、「嫡子」が一人の男子に限定されている場合の端的な表現である。



「嫡出」は、せいぜい、『法的な婚姻関係にある夫婦が自分たちの正式な子かつ自分たちの正式な後継者として認めている』という意味である。



「嫡」にしても、「嫡出」にしても、『正妻から生まれた子』などという意味は元々全くない。今現在も全くない(民法789条1項、民法809条)。

正妻ではなく側室から生まれた「皇太子」「世子」「嫡男」なんて昔からゴロゴロいる。

見るからに狂ってるウィキペディアの管理者たち(多重アカ含む)は当然として、日本の法曹・学者たちの考えられない無知ぶり・劣悪ぶりには憐れまざるを得ない。



現行の日本法での嫡子には、5種類有る。

【1】両方の配偶者が自分たちの子として「推定」ないし「承認」した場合の、あるいは、片方の配偶者が自分の子ではないという「否認」を家庭裁判所に認められなかった場合の、「嫡出子」かつ「実子」

従って、「嫡出子」「実子」という法的な呼び名にも拘わらず、法的にはその「実親」と「実子」とが生物学的な親子であることを必ずしも意味していない。

法的には、あくまで「嫡出子」かつ「実子」と「推定」ないし「承認」しただけ、あるいは、あくまで「嫡出子」かつ「実子」ではないという「否認」が家庭裁判所に認められなかっただけ、に過ぎない。

純血主義、血統主義、あるいは、そういうイデオロギーによる差別は、人間社会の場合、この段階で法的に不可能になっている。


【2】【1】の「実子」が養子縁組で法的に新たな「親族関係」を形成した場合の元実子(法的には、こうなった場合も、元実子は元実親の「嫡出子」かつ「実子」)。


【3】適法な「養子縁組」による「嫡出子」かつ「養子」


【4】【3】の「養子」が養子縁組の解消(養子縁組で生じていた「親権者」「親族関係」との法的な「離縁」)あるいは更なる養子縁組によって法的に新たな「親族関係」を形成した場合の元養子(法的には、こうなった場合も、元養子は元養親の「嫡出子」かつ「養子」)。

【1】【2】の「実子」と【3】【4】の「養子」とは同じ「嫡出子」という社会的「身分」であると民法(772条〜789条、809条)にわざわざ明記されている。

にも拘わらず、「実子」と「養子」とで憲法14項1項違反の差別をする地頭の悪そうな差別主義者がいるが、そういう差別は全て違憲無効である。

「実子(元実子含む)」と「養子(元養子含む)」とは、法的には、その子がある「親」の「子」となった経緯についての手続上の違いを意味するに過ぎない。

先にも述べたように、「実子(元実子含む)」「実親(元実親含む)」は必ずしも生物学的な親子関係を意味しているわけではないからである。


【5】片方の配偶者が自分の子として「認知」した場合の「嫡出ではない子(非嫡出子)」かつ「実子」(但し、非嫡出子も、民法789条各項の規定によって「嫡出子」となり得る)。


以上、嫡子あるいは嫡流のタイプには5種類有る。そして、全く同じ様に、相続権が発生する。

【1】【2】【5】の「実子」には、その各々の「実親」の死によってその各々の「実親」からの相続権が発生し、

【3】【4】の「養子(元養子含む)」には、その各々の「養親(元養親含む)」の死によってその各々の「養親(元養親含む)」からの相続権が発生する。

社会的要請としても当然なことであるが、これら各々の親子関係に差別があってはならない。

養子差別・元養子差別も、非嫡出子差別も、あってはならない。

健全な社会であるためには、あくまで、Children First 子供第一 でなければならない。



なお、日本人の養子の有名人を適当に並べておく。養子縁組は健全な人間社会のための必要不可欠な知恵であると言える。


徳川吉宗
徳川家茂
徳川慶喜


松陰吉田寅次郎
松菊木戸孝允
春畝伊藤博文
世外井上馨


吉田茂
岸信介


「養子の有名人が現存しなくなると社会は必然的に劣化・衰退する」という定理があるようにすら思われる。
実子という立場よりも人間性や人間関係や社会をより深く見ることができる養子を沢山、寛容に育てている社会のほうが、そうではない社会より遙かにマシな社会であることは、陽を見るより明らかな事であるからだ。